ビジネスシーンでも役立つシャツやネクタイを贈ろう
私の記憶が正しければ、おそらくあれが最初で最後のオヤジに贈った父の日のプレゼントだったでしょう。
あれは私が初めてアルバイトをした、高校一年のときでした。もう高校生なんだから、アルバイトでもしようと考え、仲の良かった友だちと休日に解体屋さんへ働きに行ったのでした。
その時に解体していたのが、古い病院の廃墟。けっこう大変なお仕事です。作業服は汚れるし、身体のあちこちは怪我するし、負けそうになりました。
それでも働いた分のお金は自分で好きに使えると思うと、自然に頑張ってしまうのです。現金なものです。特に夏休みには友人たちと海水浴へ行き、どこかの女子高生をナンパするという目的もありましたので。
初めてのお給料をもらったのは六月。二万円くらいでした。大切そうに給料袋を見ていると、オフクロがこう言いました。
「初めて自分で働いたお金なんだから、父の日になにかプレゼントしなさいよ」
そういえば父の日が近づいていたのです。しょうがない。私はそのお給料をもって、迷わずに近所の酒屋へ行きました。オヤジに贈るプレゼントは、大好きな酒だ、と決めてしまっているのです。
ちょっと景気よく、一万円ほどのウイスキーを買ってやりました。そして、父の日の当日、それをオヤジにやると、オヤジはもう止めてくれと言いたいほど、喜んでくれたのです。
何年か前に、父の日のプレゼントに息子から一万円相当の万年筆をいただきました。嬉しかった。あのときのオヤジの気持ちが、ちょっとだけ分かったような気がしました。